こあべの身の丈雑記帳

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【サラリーマンの経費入門】給与所得者の特定支出控除とは?

こんにちは。こあべです。

 

「サラリーマンがスーツ買ったり引っ越ししたときの費用を経費計上できる」…

 

まことしやかに囁かれるそんな噂を耳にしたことはないでしょうか?

 

先日、「この噂ほんまなん?」と知識シェアの依頼をいただきました。

思わぬおトク話到来か?!と早速調べてみたので知識シェア!

 

今回は「サラリーマンでもできる経費計上」の噂の真相を探っていきます。

 

今日のメニュー!

 

その真相は…「給与所得者の特定支出控除」

確かに、「給与所得者の特定支出控除」という制度が存在し、税理士事務所発信の情報が複数確認できます。

 

 この内容を学習するにあたり、サラリーマンにはあまり馴染みの無い「経費」の考え方について触れておく必要があると感じました。

サラリーマンなどの給与所得には、個人事業主などが該当する経費の考え方が基本的に存在しません。

 

個人事業主の事業所得の計算方法:収入-必要経費=事業所得

 

そこで、サラリーマンには経費に代わる控除として「給与所得控除」が認められています。

給与所得者の特定支出控除では、サラリーマンが「会社に業務に必要と認められており、サラリーマン自身が費用(特定支出(1~6))」を支払った場合、給与所得控除を超えた部分のうち、給与所得から控除(特定支出控除を適用)できるものです。

 

参考:

給与所得者の特定支出控除|国税庁

 

 

控除対象の特定支出とは?

6種類の特定支出は次のとおり。

 

1.通勤費

一般の通勤者として通常必要と認められる通勤のための支出
イカー通勤の燃料費や高速代など必要な場合には認められる。
なお、会社が通勤費を支給している場合には、特定支出に該当しない。

 

2.転居費

転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出
転居のための運賃や宿泊費、家財の運送料、梱包のための材料や運送に伴い必要となった損害保険料等

 

3.研修費

業務上直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出

 

4.資格取得費

職務に直接必要な資格を取得するための支出

・自動動車免許、簿記、英語検定など、仕事に直接必要な資格取得のための費用

・弁護士、公認会計士、税理士、弁理士、医師、歯科医等法令の規定にもとづきその資格を有する者に限り、特定の業務を営むことができる資格取得のための費用(平成25年分以降に適用範囲拡大)

 

5.帰宅旅費

単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出
※1カ月に4往復を超える帰宅旅費、グリーン車、ファーストクラスなどは特定支出に該当しない

 

6.勤務必要経費

支出合計額65万円を上限に特定支出控除として適用される。

対象の費用は以下の3つ

・図書費
仕事に関連する専門書、業界紙の購入費用

・衣服費
スーツ、制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服の購入費用

・交際費等
顧客や仕入先に対する接待、贈答費用。
同僚との親睦会、同僚の慶弔費は特定支出に。
※平成25年以後特定支出の対象

 

これらの特定支出を合算し、本記事の「計算方法を知る」の式に当てはめると特定支出控除額が算出されるというお話。

 

 

特定支出として申請する方法とは?

サラリーマンでも特定支出として制度上の「経費」を計上できることがわかりました。

そして次に気になるのはその申請方法 。

 

まずは特定支出ごとに「特定支出(◯◯費)に関する証明書」証明書を記入して会社の然るべき部門に提出するみたいですね。

証明書欄に会社印を押印して準備完了!

 

参考:使用する書類。

「給与所得者の特定支出に関する明細書」(各種)
・会社(給与支払者)による「特定支出に関する証明書」
・交通費の領収書等、支出した金額を証する書類
・給与所得の源泉徴収票

 

 所得税の確定申告時に特定支出を申告するかたちのようです。

「給与所得者の特定支出に関する明細書」や「給与所得の源泉徴収票」、特定支出の領収書やレシートを申告書に添付して、確定申告!

 

やってみたいですねこれ。

 

 

特定支出控除の計算方法:少し厄介

しかし、自分がどれだけ特定支出控除を受けられるのかを知らなければお話が始まらない!

計算方法を調べてみました。

 

その方法…

1.当人の給与所得控除額を計算

2.特定支出控除額の適用判定基準額を計算(給与所得控除額の半分相当)

3.控除対象となる特定支出額を合計し、2.(給与所得控除額の半額)を差し引く

4.給与収入から1.3.の金額を差し引く

 

 

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特定支出控除の計算

…端的にいうと、

 

「認められた特定支出」が「給与所得控除の半額」以上かかってるようなら「給与所得控除額の半額」+α まで控除するよ

 

ということのようです。

ちなみに、給与所得控除の計算方法も初めて判明。

なにかを調べると副次的な知識を得ることもできる。これが好き…笑

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給与所得控除(R1~2)

 

 

まとめ

今回このトピックを調べてみて、情報自体は多いように感じました。

事実、税理士関係の方の情報が多く、とても参考になりました。

 

しかし先述のとおり、平成30年の特定支出控除申請件数は1700件程度。

認知度はまだまだ低い。

 

この制度を知らずに過ごすと各種研修の参加や、MBA等資格取得を目指す会社員にとって損になってしまう本末転倒さも感じます。

 

ことを知っていると、業務に関する勉強や資格取得を頑張れる方が増えるのではないかと思います。

 

「控除」と聞くと、一般のサラリーマンにとっては「よくわからない」もので、一歩踏み出せないものかもしれません。

しかし、知識は力なり。わからないものこそ知る価値があると考えています。

 

 

今回も、誰かのお役に立てていると嬉しいな。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

参考資料:

1.サラリーマンの経費「特定支出控除」とは|税理士検索freee 

2.特定支出控除とは?(転勤、単身赴任、資格勉強中の方は要確認!)

3.特定支出控除とは?| 税理士法人 HITOTOパートナーズ

4.会社員が意外と知らない「給与所得控除」ZUU Online

5.【改正】 給与所得者の特定支出控除の見直し - 所得税制 │税務コラム