こんにちは。こあべです。
今回は、誰しも気になる「厚生年金保険料引き上げ」の話題をお送りします。
【今回のキーワード】
Who?: 誰の保険料が上げられるの?
Why?: なぜ保険料が値上げされるの?
この内容を中心に、厚生年金そのものと保険料値上げについて紐解いてみようと思います。
今日のメニュー!
結局、誰の保険料が上がるの?
結論:今年度4〜6月の間の平均報酬月額が64万円以上の人は月額2745円の引き上げの可能性があります。
いわゆる「31等級」(年収換算で概ね800万円台)以上の人。
(けっこうな高所得者の皆さまが対象でした…)
また、厚生年金保険料は「労使折半」を原則としています。
31等級以上の本人と会社が負担する保険料が合計月5490円値上がりし、
これを個人に換算すると毎月2745円の負担増
というわけ。
「4〜6月の残業は控えろ」は「等級」の話だった
この噂めいたもの、毎年4〜6月の報酬(基本給+各種手当)の平均を「報酬月額」として算出、標準報酬月額表に当てはめ、等級が決まるからなんです。
※「標準賞与額」にも同じく等級に応じた保険料が課されます。
※標準報酬月額とは
被保険者が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定したもの。保険料や年金額の計算に用いる。
現在の標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から32等級(65万円)までの32等級。上限は加入者の平均給与の2倍になるように決められる。
つまり、
「当年の健康保険料、厚生年金の保険料が4〜6月の報酬の平均額を元に決まるから、その間に稼ぎすぎると等級が上がって保険料が高くなるぞ!」
てことだったんですね。
決定した等級が反映されるのは当年9月分の給与から。
翌年9月までの1年間適用されます。
日本年金機構HPに標準報酬月額表の決定方法が公開されています。
参考:厚生年金保険の保険料
なぜ、保険料が上がるの?
加入者の平均給与の2倍になるように決められる標準報酬月額の上限が、62万円を超える状況が数年間続いているため、だそうです。
旧制度では標準報酬月額の上限は31等級(月収60万5000円以上)まで、標準賞与額の上限は月間150万円までと決まっていました。
今回、社会情勢の変化に伴い等級が再編、2020年9月から32等級(月収63.5万円以上)が新たな上限として新設されたのです。
約4400万人いる厚生年金加入者のうち、約290万人が上限の月額62万円に該当し、このうち多くが新上限の65万円に移るとみられます。
保険料値上げの影響は?
メリット
・将来的な年金支給額の増加。
仮に20歳から40年間支払い続けたとすると、新たな上限の方が受給額は年8万円ほど増えるそうです。
…ちょっと比較しづらい例えですが、65歳からの支給開始後、17年程度で「モト」を取れる計算だそう。
長生きしましょう←
デメリット
・月々の「不可分所得」の現象。
月収が63.5万円以上ある新32等級に当たる会社員は、収入は多くとも同時に子どもの教育費や住宅ローン返済など支出も膨らみがちな層。
年額30,000円の減収を補填、相殺する方策が必要となります。
対策は必須です。
そもそも:三大社会保険のひとつ、厚生年金保険とは?
そもそも、今回の値上げにかこつけて社会保険を学んでみようと思ったのが今回執筆した理由のひとつです。
厚生年金保険は約4400万人の加入者を擁する三大社会保険のひとつです。
またの名を被用者保険制度。
・企業の従業員、また労働時間・日数が常時雇用者の3/4以上(「106万円のカベ」など加入特例あり)のパートタイマー、アルバイトも加入対象
・保険料は毎月半分ずつの労使折半
・被雇用者の保険料は【標準報酬月額×保険料率(18.3%)+標準賞与月額×保険料率(18.3%)】で算出
・給与明細の「控除」欄にも厚生年金控除額の記載あり
→自分の給与明細で確認できる内容です。
厚生年金保険の役割は…
・老後に受け取る『老齢年金』
・障害を負ったときに受け取る『障害年金』
・亡くなった場合に遺族に支払われる『遺族年金』
「なにかあったとき」に備えることのできる公的保険制度です。
三大社会保険にはその他、健康保険、介護保険(40歳から)もそれぞれの役割を持ち、それぞれの保険料率をかけられて給与から控除されています。
社会保険の保険料率内訳は厚生年金が18.3%、健康保険が10%、介護保険が1.79%(
全国平均)。
このほど、段階的に引き上げられてきた厚生年金保険料率は上限の18.3%に到達、引き上げが終了しました。
2025年度には団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になる2025年問題は有名ですね。
その歳、保険料率の合計は大台の30%を突破。31%に乗る見通しです。
まとめ
生産年齢世代の負担増が取り沙汰されがちな社会保険料。
・厚生年金保険
・障害保険
・介護保険
3つの保険料率の今後と支給額の変遷は個人の今後に関わる見過ごせない問題ですし、私も多分に漏れず、懸念しています。
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しかし、「将来の支給額のみでの生活は難しい。だから運用をしよう」だけにとどまってはいけないと思います。
自分の負担だけでなく自分の下の世代のために何かを残さなければいけない。
自分の「逃げ切り」以外にも今後の日本を背負う世代に遺せるか考えなければいけない。
私は「遺す手段」の一つが、下の世代への「自己防衛」の提案だと考えています。
年金をベースに、
マネーリテラシーの習得
資産運用の知識
「お金の話はタブー」という概念の打破
がこのブログを通して誰かに伝わればと切に願っています。
そのために、今後も財テク、おカネのあれこれを紐解いていきます。
今回も最後までよんでいただき、ありがとうございました。
今回の参考資料
その他:
2020年9月から厚生年金保険料がアップするのはどんな人? 将来受け取れる年金額が増えるって本当?(ファイナンシャルフィールド) - Yahoo!ニュース
書籍: